再会
旦那様の会社の元同期の友人であり、
私がベトナムに住む直前まで働いていた会社の同僚になった男性がいる。
つまり、彼は新卒で旦那様の会社に入社し、転職を経て私の職場の同僚になったわけだ。
夫婦共々同じ職場で働くというのはなかなか奇跡的なので、非常に親近感が湧いていた彼。
職場で話したことは2回ほどしかないのだが、
今日は奥さんと一緒にホーチミンに旅行に来たらしく一緒にご飯を食べることになった。
彼は会社でも全社で表彰されたりと敏腕であるらしく、私の旦那様と同い年とは思えない達観した雰囲気が漂う。
奥さんもバリキャリかつ可愛くて喋りやすいという鬼に金棒だ。
こうやって色んな夫婦とご一緒する機会が増えるほど、女性の役割というものの重要性を良く感じるようになる。
会話の運び方や、さりげないフォローの仕方。
明るさや、華のあるなし。
これだけで夫婦としての見え方や、評判も変わってくるのだなぁと改めて考えさせられる。
自分はどれをとってもいまひとつであることは自覚しているので、
とりあえずその場が笑いに溢れるよう努めることだけは心がけている。
今日は先方の奥さんのコミュニケーション能力がとても高いこともあって非常に楽しい会になったのだが、
ひとつ気づいたことがある。
途中から旦那様のスイッチが切れたということだ。
私の旦那様はもともとお喋りな方ではない。
舌ったらずだがいつもニコニコしているので、あまり喋れなくてもみんなが可愛がってくれるタイプの人間だ。
彼が会話の主導権を握ることはほぼないのだが、そのくせして会話のフィールドからフェイドアウトする時がある。
本日もこの特殊能力を発揮してくれた。
私はそれに気づくと、会話の主語を旦那様にして逃すまいと引き込むのだが、
完全にスイッチが切れた状態に入ると驚くほどキレのない返答になる。
なぜだ?
彼はあなたに会うためにわざわざホーチミンに来てくれたというのに?
どんな気持ちでスイッチを切るのか?
怒りではなく、恐怖に近い気持ちで旦那様を見つめ、見切りをつけた。
そういえば、義理のお母さんも、お義父さんについて同じような愚痴をこぼしていたなと思い出す。
親子の血は争えない。
世の中の男性はこういう人も多いのだろうか。
そして会の締めくくりに写真を撮ったのだが、ここでも旋律が走る。
怖いぐらい私と旦那様の顔が似ているのだ。
これは結婚式を挙げる前後からずっと巷でささやかれていた事ではあるのだが、
ひょっとしたらホーチミンに来てからまた似て来てしまっているかもしれない。
私と旦那様が手前で、友達夫婦が奥。
どうしても二重顎になりやすい角度だが、こんなに二重顎の段数まで揃うものなのか?
口角のぎこちない上がり方までそっくりである。
それが昨今の悩みである。
特段これといったオチはないのだが、そんな平和な1日であった。