何番目の女なのよ
これが知りたい。
私はあまりストイックな性格ではないため、「全体の中の自分の順位」を把握できて初めてお尻に火がつく。
言い訳であるのはわかっている。
ただしこの順位づけが、負けず嫌いの私にとって今までガソリンになってきた。
週明け月曜日。
先生は宿題と言っていた国名のテストは完全に忘れていたようで、代わりに先週習ったことの総復習であるペーパーテストがあった。
リスニング、ライティング、どちらも含め30分くらいで完成する内容。
多分ベトナム語検定の試験はこんな感じで行われるのだなとイメージがついた。
自分の中では手応えがあったものの、生徒同士で答案を交換し採点し合ったため、結局クラス内で私は何位くらいなのかがわからなかった。
私のクラスは恐らくだが、割と全員向上心が高い。
日本人の女の子も、飛び級してこちらの高校を卒業し、来年には早慶上智のなかに入学する予定の秀才だ。
韓国人や香港人は皆起業を目指して、ノマドワークをしながら勉強している。
やはり頭の回転が早いのか、授業を受けている感じを見ていてもキャッチアップが異常に早い。
そして単語の習得が完璧な人も少なくないのだ。
その中で埋もれないように、落ちこぼれないように、ついていくのに必死である。
この6日間で200語以上の単語を覚えるように授業が進んでいる。
学生時代に比べると、圧倒的に単語が入ってこない。
歳のせいにしては意味がなく、人の3倍時間がかかるなら3倍頑張るしかないのだが、脳が熱を持っているのを感じるくらいだ。
体感値でいくと、恐らく11人中4番目あたり。
(ちなみに数名の生徒が来なくなりました)
これを満を持して1番と言えるようになるまでは頑張ろう、、、。
最近やたらと学校の話ばかりしていて皆さんにはつまらないと思うので、前回までよく登場していた旦那様の近況をたまには書こう。
おさらいしておくと、私の旦那様はホーチミンで野球に没頭している。
それ以外に、彼のホーチミン生活を語るトピックはない。
先日は、タイのバンコクにまで遥々遠征に行った。
たかが部活でそんなにお金をかけないで欲しいという本音もあったのは事実だが、
稼いできているのは彼なので何も言えない。
笑顔で見送ると、彼は準優勝してニコニコで帰ってきた。
「準優勝?!おめでとう!4カ国来てたの?」
結構真面目に質問した。
彼はそれを嫌味だとも気づかず答える。
「8カ国やな!」
その日はたまたま日本から私の友人が泊まりに来ていたので、誰も興味のない旦那様の野球の話は特に掘り下げられることもなく終わった。
そして彼女たちが帰国した後、もう少し野球の話聞いてあげた方がいいのかな、という気遣いから改めてタイ遠征について掘り下げてみた。
すると彼の悲しい事実がわかったのである。
彼はバンコクくんだりまでわざわざ行ったのにも関わらず、一回も打席に入れてもらえなかったそうだ。
彼の野球経験は小学生の時の習い事で終了しているので、無論、甲子園球児や大学まで野球をやっていた他のメンバーからしたら足元にも及ばない。
それでも彼は、「毎週の野球活動への参加率において彼の右に出るものはいない!」という理由から、タイ遠征の選抜のなかに入れたのである。
要は「21世紀枠」である。
もうこの時点で私の中ではじわじわ来ていた。
普段の活動は初心者や女子も入れて和気藹々と行われるが、流石に(自称)ベトナム代表として国を背負うからには選抜メンバーが揃えられるわけだ。
残念ながら彼は野球のセンスはあまりないが、ただ幸運にも、足だけは速い。
よって、途中で代走として出場を果たすことは、かろうじて、できたようだった。
そしてこの話の締めくくりに彼が呟いた一言がこれだ。
「俺、バンコクに塁間走りに行ったわ」
この“派手ではないがじわじわくるオーガニックな面白さ”が、私が彼と結婚を決めた理由である。