VoChiMinh’s blog

決して煌びやかではないホーチミン駐在妻の日々のつぶやき

久しぶりすぎて書ききれない

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みなさんお久しぶりです。

ホーチミンは4月の末頃にコロナ規制が緩和され、5月中旬からは学校も始まりました。

今やマスクをする人の方が少なくなり、時々コロナなんてなかったかのように感じられます。

コロナで3ヶ月間も学校に通えなかったので、5月の1ヶ月は1日8時間大学に通い、

平日夜や土日はカフェに行ってベトナム人の友達を作りました。

口から発するベトナム語の量が圧倒的に増えたので、

自然と会話のバリエーションが増えてきたこの頃です。

 

みなさんはいかがお過ごしですか?

 

この1ヶ月留学生気分で生活する中で、色々面白いことが起きたのですが

このブログに盛り込むには余るほどの量に膨れ上がってしまったので

残念ですが割愛してお話しします。

多分割愛するくらいがちょうど良いです。

 

*********

 

まずは何と言ってもカマラ君の話から。

私は5月、朝8時からレベル4のクラスを4時間、午後13時からレベル3のクラスを4時間、同時に進める形で動いた。

レベル4の教室に入った初日、真っ黒な肌色のカマラ君の存在には度肝を抜かれた。

カマラ君はギニア出身。母国語はフランス語。

なんだかユニセフ募金の広告でしか見たことのなかったタイプの人種だったので衝撃が走ったのだ。

髪の毛も坊主で、Tシャツはいつも黄色。

イメージ的に底抜けに明るい性格かと思いきや、意外と寡黙で勤勉ときた。

彼はこの大学で最終のクラスまで上り詰めた後、こちらで起業をしたいのだそうだ。

 

そんなカマラが、ある日教室内で小さなテロを起こした。

事件の被害者はアイさんという日本人女性。34歳、独身。

アイさんに対しては、私の社交性センサーが微妙に危険信号を出していたため

私としては珍しく積極的には関わらない女性だった。

それはカマラも同様で、私との会話は多いが、アイさんとの会話はほとんどなかった。

 

ところがある日、カマラは珍しくアイさんに話しかけたのだ。

カマラはアイさんと同じ日本人である私も会話に加えてくれたので、私も仲良くなるチャンスかなと思い首を突っ込む。

程なくして名司会カマラがお題を「結婚」にした。

私の社交性センサーが瞬時にJアラートを発動する。

やめろカマラ。けたたましいサイレンが聞こえないか?

私はそっと相槌を断ち、静かに会話のグループから抜けようと試みる。

 

するとカマラはどストレートにアイさんに言い放つ。

カ:「アイは34歳なの?なんで結婚しないの?」

ア:「結婚はしたいよ?でも…でもなんでかはわからないよ!」

カ:「ギニアでは女性は若いうちに結婚するんだ。」

ア:「日本は都会だと30歳前後だよ!」

カ:「ギニアは22歳くらいまでに結婚しないと怖がられるよ。アイ怖いよ」

ここで私はリングに白いタオルを投げる。

そのタオルに油性ペンで文字を書いておいた。

”頼むから黙ってくれ”と。

その物言いは、かなり仲の良い関係が出来上がってから放てるパンチである。

 

しかしアイさんは半ギレでふらふらのまま立ち上がる。

ア:「ギニアの男は何歳で結婚するのよ」

カ:「まあ30歳くらいまでかな」

ア:「あんた今何歳よ」

カ:「36歳だね」

ア:「あんただって怖いわよ!!」

 

カンカンカンカン!

 

レフェリーがゴングを鳴らす。

世紀の大接戦であったが、意外にもアイさんの大勝利であった。

私は会話から外れたつもりではいたが、完全にニヤニヤが限界まで来ていた。

急に始まった世紀の大接戦を目の当たりにし、興奮冷めやらぬ顔をしてしまっていたと思う。

 

一応、ここで念を押しておくと、

私個人の見解としては結婚は別に然程いいもんじゃないと思っている。

だから結婚が正義という前提で攻撃を仕掛けたカマラには全面的に反対しているが、

ホーチミンに来てから「世界中の人と付き合うというのは相手の当たり前を受け入れる作業だ」と感じているので

これも一つの異文化体験として楽しんでおこうと思う。

 

そして4時間の授業が終わり、カマラと廊下を歩いているとカマラが私にこう言った。

「結婚して4年も経つのに子供いないの?病院行きな!」

カマラのボディーブローをしっかりとボディーに受け入れ、午後の授業に向かう。

代わりにカマラの首に白いタオルをかけておいた。

もちろん油性ペンの文字入りタオルだ。

”その口いっぺん縫ってやろうか”

 

 

6月は彼と違うクラスになる。

いい思い出として残しておこう。

 

鎖国

夫婦並んで夕食を食べている時、TVでこのCMが流れた。

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私は言う「ああいう髪型も似合うの、羨ましいな〜」

旦那様は言う「ん〜でも俺はあんまり好きちゃうかな〜。坊主は。」

 

実に2週間ぶりの投稿だ。

しかしこの2週間、上記の会話くらいしか吹き出した記憶はない。

そのくらい、閉塞的な、抑揚のない日常を過ごしている。

 

ベトナム語の新しい教科書も2周やり終え、英語やその他の分野の勉強も挟んでみたが、

「は〜疲れた〜」とか「は〜面白かった〜」と言うような1日を過ごせた記憶はない。

インプットばかりしていても、アウトプットの場がなければ面白さは伴わないのである。

おまけにこの世情である。

今までは黙っていることの方が少なかったgrabの運転手さんたちまで、全員私に一言も発しなくなった。

親日の気持ちは戻ってくる日が来るのだろうか。

私が逆の立場だったらどうだろう?

 

そう言えば、今月に入って就職活動を始めてみたのだが

これまた私もタイミングが悪く、ことごとく採用中止や保留にあっていて何も進まない。

もともと駐在妻というのは企業側からすると非常に採用しずらい生き物で、

「10社受けて1社内定が出ればいい方ですよ!」とか言われてしまうのだが、

企業側の立場に立てばそりゃそうである。

致し方ないところなので贅沢は言っていられない。

この年齢から未経験の仕事を始めることに尻込みしつつ、

結局4社しか書類選考を依頼しなかったのだが、4社とも書類でお見送りだった。

人材会社の方曰く、採用そのものが中止、あるいは選考基準がかなり高くなっている、とのこと。

なるほど。

この景気だったら、私が社長でも若手の独身男性くらいしか採用する気にはならないだろう。

私は暇で死にそうな時間を、お金と、価値ある経験に変えたいだけなのだ。

そんなふざけたスタンスだから、企業からもフラれてしまう。

 

学校の再開は今のとろころ4月1日からを予定されている。

だが、それすら延期の可能性も大いにある、それがベトナム。

コロナにかかった人はテレビで詳細な居住地住所まで晒される、それがベトナム。

全外国人のビザ発給を停止した国、それがベトナム。

コロナ対策アプリなんかも素早く作成して、こういう時の政治の進め方は割と賢いと最近わかってきた国、それが社会主義国家ベトナム。

 

コロナが落ち着いたらぜひ一度お越しください。

 

 

ベトナム版西内まりやが歌うコロナソング

テレビはコロナの話題ばかりである。

予想以上に収束しないものだなと、日本に住む家族が心配になる。

 

そんな中、ベトナムでコロナと共に流行りだしたこの歌をお届けしたい。

GHEN CÔ VY。

私が勝手に“ベトナム版西内まりや”と呼んでいる人気歌手MINと、

(私は知らないが人気らしい)男性歌手ERIKがコラボして話題となった曲の「替え歌」である。

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元々は「嫉妬」というタイトルで男女の恋愛模様を歌った歌だが、

これを厚生局が替え歌にして本人たちに歌い直してもらったのだから愉快である。

 

そしてこれには「手洗いダンス」なるものが振り付けられ、

若者の間で「踊ってみた」系の動画がバズり更に話題を呼んでいる。

日本でもお馴染みのAEONさんも踊ってみたらしいので、実際の歌とともにご覧いただこう。

きっと気分も少し前向きになるはずだ。

歌詞は後述する。


"GHEN CÔ VY" | NIOEH x KHẮC HƯNG x MIN x ERIK | VIDEO DANCE COVER BY AEON

 

 

Dạo gần đây, có một virus rất hot     

最近アツいウイルスがいる

Tên của em ấy Corona

彼女の名前はコロナ

Em từ đâu? Quê của em ở Vũ Hán

あなたはどこから来たの? ー私の故郷は武漢

Đang bình yên bỗng chợt thoát ra

平穏は突然逃げ去った

Chắc chắn ta nên đề cao cảnh giác

絶対に超警戒すべきだ

Đừng để em ấy phát tán

彼女を拡散してはならないぜ

Chắc chắn ta nên quyết tâm tự giác

自己判断で守るんだ

Để dịch bệnh không bùng cháy lên

この病気を炎上させないために

Cùng rửa tay xoa xoa xoa xoa đều

手を洗い こするこするこする

Đừng cho tay lên mắt mũi miệng

目鼻口に手を触れない

Và hạn chế đi ra nơi đông người

そして人混みへ行くのは制限する

Đẩy lùi virus Corona Corona

撃退するんだ コロナコロナ

Luôn nâng cao sức khỏe

常に健康を維持して

Và vệ sinh không gian xung quanh mình

そして身の回りを清潔に保つ

Cùng nâng cao ý thức của xã hội

共に社会の意識を高めよう

Đẩy lùi virus Corona Corona 

撃退するんだ コロナコロナ

 

 

いかがだろうか。

私なりの意訳も含まれるが、ベトナム語の勉強がてら訳してみた。

突然会話形式になったかと思ったら、一行でその構成は終わるという

なんとも統一感のない感じがたまらない。

是非カラオケで見つけたら歌ってみてほしいし、

外出自粛で運動不足になっている子供や高齢者の方々も家で運動がてら踊ってみてほしい。

 

無期延期

最悪である。

 

今日からレベルアップしたクラスが開始される予定だった。

前回の授業から引き続き一緒のメンバーは1人だけ。

それ以外の6人は全くのご新規様の予定だったから、私は今日という日を楽しみにしていた。

ちなみに引き続きのメンバーとは大学生のジョンウックくん。

彼は意外にも継続を希望したが、経緯の詳細は割愛する。

 

ところがカフェ勉をしていると、学校から「開校無期延期」のメールがきたのだ。

 

実はベトナムは国をあげて感染予防対策を行っており、感染者も16名のみ。現在は全員が全快したとのことだ。

しかし社会主義国家だからか、休みたがりな国民の人柄かはわからないが、

保育園・小・中・高校は全て今月末までの1ヶ月に及ぶ休校を決定している。

更に延期になる可能性もまだ残っている。

駐妻ママ達は精神的な限界がきているようだ。

 

そういえば私の住んでいるマンションも気まぐれに体温チェックをしてくる。

23時くらいの時間帯にエントランスを通ろうとする者にだけ、体温計を向けてくる。

いつも遊んでいるように見えるガードマンが、その時だけは凛々しい表情で「ストップ!」と言い放ち

得意げに体温計を私のおでこに向けてくるのだ。

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なんと無駄な施策だろう。

酔っ払って火照って帰ってくる旦那様がうっかり検査に引っかからないかな、

と期待することしかできない。

 

前回テト開けの時は、1週間だけ延期すること、そして外国人クラスだけはビザや帰国のスケジュールに影響が出るためベトナム人学生より早めに開校することを発表していた。

先週まで私が授業を受けられていたのはこの理由によるものだが、

今回の大学からのメールによると、

「ベトナムの感染者は終息傾向にある。

 がしかし、韓国ではまだ100人単位で感染者が発生している。

 本校にはこの国籍の学生が多いため休校する。スケジュールは状況次第につき未定。」

とのことだった。

随分とあからさまに言ってくれたものだな、と思いながらメールを読み終える。

先週毎日通えていて、今週になって再び通えなくなるのも違和感がある。

なんなら私は毎日マスクを外さなかったが、先生達はほとんどマスクをしていなかった。

ゆるい国である。

 

再び生まれた暇な時間を、今度こそ復習に使い果たそうと決意する午後。

また面白いことがあれば日記にしようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

2ヶ月の成果

12月からベトナム語教室に通い始めて8週間。

テト休暇中は結局あんまり勉強しなかったな、という反省もあるが、やっと1冊目の教科書が終わった。

1日4時間×週5日のコースで、2ヶ月で1冊が修了する仕組みになっている。

 

来週からは新しい教科書。

噂によれば、内容はそこまで難しくはないが、新単語の量が圧倒的に増えるらしい。

それもそうだな、今までの教科書は発音の練習や幼稚園児用かと思う文章が半分を占めていたのだから。

 

本日は直近4週間分の総括の試験だった。

 

前回の4週分の総括試験は、11人のクラスメイトのなかで上から3番目の結果。

韓国東大生グンスくん、次いで香港人のイップが上位を飾った。

 

今回は、5人中、試験を受けたのは私だけだったので順位は暫定1位。

M-1グランプリのシステムで言うと、トップバッターのコンビが必然的に1位の座につけるのと同じ類だろう。

なんとも張り合いがないし、これが良い結果なのかどうなのかも判断がつかない。

とりあえず、前回よりも自身の正答率自体は上がった。

 

試験は、文法確認と自由記述で60分、リスニングで30分、スピーキングで15分。

約2時間で終了した。

これは英語でも同じことを実感しているのだが、

日本人は文法や単語には強い。しかし実践にはめちゃくちゃ弱いのだ。

今日の私はそれが顕著だった。

 

スピーキングのテストが酷かった。

先生は仏のように優しいので満点をつけてくれたものの、

「あー」「うー」「へへっ」

が多すぎる。

まず文章が滑らかに出てこないので、頭の中で考える。

斜め上を見ながら、何かを読み上げるかのようにたどたどしく喋っている。

私が逆の立場だったら、

「え?私の後ろに何か見えてる?先祖?先祖見えてる?」

と思ってしまうと思う。

 

これは本物のコミュニケーションの中ではよろしくない行動だろう。

グンスもイップも、目を見ながら流暢にベトナム語を話し出している。

2人の背中を追いかけるべく、喋る機会を増やす場所を探そうと決意した金曜日だった。

 

そう言えば、昨日のマンツーマン授業は思いの外とても有意義だった。

前半2時間の先生は、私のレベルに合わせて特別な授業を設けてくれたのでいつもより刺激的で有意義だった。

後半2時間の先生は練習問題のプリントを山ほど用意しており、

わんこそば状態でとにかく問題を解いた。

ミスした問題を質問しても、的を得た答えは返ってこない。

この2ヶ月で、そう言う先生だとはわかっていたので私も諦める。

 

次のタームでは先生が一掃されるそうだ。

良き先生と出会えることを期待している。

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解決

スッキリした。

事実が明らかになったのだ。

 

私の徒然日記を読んでくださっているごくわずかなお客様の中に、ジャーニーとジンくんの話を覚えている方が居れば思い出していただきたい。

参考:

二つの成立 - VoChiMinh’s blog

 

実は今日、韓国へ早々に帰国していたイケメンボーイ ジンくんが出張でホーチミンに来たので、ヨンホと3人で韓国焼肉へ行った。

ヨンホは今夜が最後のホーチミンディナーだと言うのに韓国焼肉へ行きたいと言うのだから、ベトナムご飯の脆弱さが伺える。

 

お互いそこそこ拙い英語でお互いの近況報告をしていると、ジン君の方から

「どうやって結婚相手を見つけるのか?」

という質問が来た。

 

ジンくんは身長183センチ、非常に賢く、英語も喋れ、時折海外で勤務もする29歳。

おまけに日本人から見ても愛嬌のあるイケメンときた。

モテない訳がない。

その彼が、両親から結婚のプレッシャーをかけられているという。

ヨンホと私は幸いにも結婚を済ませているので、アドバイスできることはあるはずだ。

 

だが私にはそんな事はどうでも良かった。

そんな事より、先方から持ちかけられた恋バナ(恋愛話)を

「で、結局ジャーニーとは本当に付き合っていたの?」

という本題にいち早く向けたかった。

 

オバさんはとても図々しい。

アドバイスをするための参考資料として、と前置きを置いて、彼の過去の恋愛をあさる。

そして、さも「ちなみになんだけど」を装って本題に迫った。

 

「え、ってか、ジャーニーとはどうなの?」

 

日本語にするとこんなニュアンスだろうか。

私は(ここだけ)流暢な英語で質問をする。

 

ジンの顔は一瞬曇る。

隣のヨンホおじさんはキムチを吹き出す。

 

「あー、ごめんごめん、気を悪くしたなら謝るよ!でもずっと気になってたの。みんなもたぶん気になってるよ!」

 

すると彼は言い淀んでからハッキリとこう答えた。

 

「彼女は本当に良い子だよ。とても優しいし。

 でも彼女にそれ以上の何かを感じることはなかったんだ。

 正直、彼女の好意は感じていたけどね。」

 

予想とは違う回答にこちらが戸惑う。

あれ?

思ってたんと違う。

え?

ホラー?

あんなにベッタリに見えていた2人の関係性が彼女の一方通行だったのだとしたら、

その「押しの強さ」はラグビー日本代表を凌ぐだろう。

その威力に背筋が凍る。

 

私の頭の中には、裁判所の門前で「敗訴!」という藁半紙をピンと掲げるオジサンが浮かぶ。

…付き合ってはいなかったのか…。

 

スッキリした反面、なんだか悲しい気持ちになった。

確かにそこに恋愛はあった。

しかし、成就しなかったのだ。

 

だがオバサンは少しだけ経験がある。

こういう悲しい恋愛沙汰の類は、必ず両者から情報を取った方が良い。

かなり高い確率で、情報が喰い違う。

お互い、お互いの恥ずかしくて人には言いたくない情報を割愛したり湾曲させたりするのだ。

本当はもう少し深い話があるかも知れないと思ったが、それを掘り起こして得になることはないと判断して身を引く。

 

そしてヨンホオジサンと妖怪カタコト英語オバさんは彼の質問に対してこう答える。

「結婚に明確な理由なんてない。」

「ジンはモテるから、授かり婚も一つの道なのでは?」

 

最悪である。

返せるものなら、彼から奪ったこの数時間を返してあげたい、という内容だ。

このままでは流石に良くないかな、と気を遣い、

「ありがとうとごめんねをずっと忘れずに言える人だったから結婚した」

と付け加えてみたが

ジンくんの顔には「は?当たり前なんだけど」という文字がくっきりと浮かんでいた。

ギブアップである。

 

みなさんは、彼を唸らせる回答をお持ちだろうか?

 

ところで、明日から恐れていた事態が起きる。

2日間、4時間の授業は私だけのために行われることが決定した。

ダンカンさんは今日、先生に向かって「スケジュールを調整できなかったから明日と明後日は来れない」と明言した。

辛い。

私も休んだ方が先生は喜ぶのかも知れない。

だかお金を払っていただいている身としてはそんな要らぬ忖度はしていられない。

明日何を吸収するかを今日抜き出しておこう。

この2日間には最終の試験も含まる。

先月に比べて成長してることを願っていて欲しい。

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ダンカンさん

テト休暇を終え2月3日にホーチミン に戻ってきた。

最近流行りの感染病を避けるため、空港のなかでも特に人の多い搭乗口を避けると、そこだけポコっと人がいないエリアを見つけたのでベンチに座る。

すると周りにいた10人くらいが全員中国語を話していることに気づく。

なるほど。差別や偏見は良くないぞ。

でもどことなくソワソワする自分がいたのは事実である。

 

ホーチミンに戻ると、学校も対策をとっていた。

ベトナム人の学生たちは2週間開校が延期され、

私たち外国人は1週間だけ延期された。

マスクを外すなというお達しとともに今週から授業が始まった。

もしかしたら授業をしている先生達も、外国人である我々をそういう目で見て物凄く警戒しているのかもしれないな、と思う。

 

実際、台湾人のイェンは飛行機が飛ばすホーチミンに戻って来ていない。

香港人のイップはかろうじて戻ってきたが、来週ビザを取り直すために帰国をするので次はいつ帰ってこれるかわからないと言う。

韓国の東大生グンスに至っては、来週末に本帰国をする予定だったが、

感染の拡大を両親が心配したためテト帰省からは戻らず今生のお別れとなってしまった。

 

こうして楽しかった時間も終息を迎えようとしているのが寂しいこの頃である。

 

この1ヶ月間のクラスメイトである4人はというと、

英語ペラペラだったジョンウックくん(22歳)はテト明けからもう既に来なくなっている。

フェイドアウトだ。

たぶんつまらなかったのだろう、若い青年の意欲とはそんなものだと、初月の経験からわかっている。

そして普段から仲の良い韓国人ヨンホとソンホは15日に本帰国するため居なくなる。

授業は21日まで続くのに。最終日は試験があるのに。

 

と、言うことはだ。

来週は私と、向上心に欠けたカナダ人のダンカンさんの2人きりになる。

一言で言うなら地獄である。

先生的にも辛いだろうし、練習相手になる私も精神的に削られることが大いに予想される。

彼は「ングイ」という発音が「ニョイ」になり、

「アンアイ」という発音が「アンニュイ」になる。

1週間習い続けている同じ単語も、金曜日になっても覚えられない。

ロールプレイングの授業においては、彼とペアを組まされた生徒は全員時間内に終わらなくなる。

もはや理解の範囲を超えて、かなり興味深い存在だ。

 

テト休暇の前、ダンカンさんと話していると彼はこう言った。

「このテト休暇はどこにも行かずにホーチミンに残るつもりだよ。テト中は街が静かで好きなんだ。

そしてなにより、この2週間で今までの復習を頑張らなくちゃね!みんなより出来が悪いからさ、ハハ」

その時私は大きく頷いた。

(そうね、あなたは4年もここに住んでいるのに、このレベルではまずいわね。

特に発音修正とボキャブラリー暗記には時間を割いて欲しいわね。)

そんな思いを込めて。

 

これは仕事においても言えることであろうが、

デキる人とデキない人にはさほど大きな差は感じない。

デキない人に対して特に腹を立てることもない。

しかし、頑張る人と頑張らない人には大きな差がある。

頑張らない人には多くの人が腹を立てるものだ。

 

そして彼はその一人であろう。

テト明け、実に3週間ぶりの授業で、私は彼に大きな変化を期待した。

しかし彼はマスクの下で確かにこう発音したのだ。

 

「ニョイ」

 

そんなベトナム語はない。

先生も彼が何を喋ってるのか分からず苦笑いをしている。

私もマスクの下でニヤリと笑うと、隣で日本語が得意なヨンホが私にこう言った。

「俺も最初は(韓国人東大生の)グンスから、こんな風に足を引っ張ってると思われていたのかなぁ、フフ」

私以外の人は誰も日本語がわからないことをいいことに、彼は堂々と悪口を言った。

「こら!」

と喝を入れ、クククと苦笑いをした。

 

来週彼が来ても地獄、

来なかったら来なかったで先生とマンツーマンなので気まずくて地獄。

長い1週間になることだろう。

最近の旦那様

ホーチミンに住み始めて5ヶ月弱、私の初めてのテト休暇が終わろうとしている。

旦那様にとっては2回目のテト休暇であるが、今回は夫婦一緒に日本に戻り、北海道を少しばかり旅行した後は離散し、それぞれの故郷で楽しむことにしていた。

義理のご両親には新年のご挨拶に伺えない(伺わない)ことを事前にお詫びし、私も自分の実家で伸びのびと過ごす。

前半は時間の限りお世話になっている人に会い、後半は予定を入れずに実家に引き籠ろうと決めていた。

 

そしてこのテト休暇中に旦那様に変化があった。

SNSを始めたのだ。Instagramというやつだ。

厳密に言うとインスタグラム自体は数年前から始めていたが、フォロワーを増やす努力を怠ったため、

何か写真を投稿しても「いいね!」が2件しかつかないという惨事に遭い、辛くなって利用を止めてしまったと言うのが正しい。

ところが今回、元サッカー部マネージャーに推し進められ、再開したのである。

あんなに頑なにインスタグラムを拒否していたのに、まったく美人の持つ力とは計り知れないものである。

 

再開してみると不思議なもので、こちらが意図せずとも旦那様が今何をしているのかがわかるようになった。

いや、なってしまった。

私の旦那様はなかなか大時代的な「漢(おとこ)」で、まめにLINEを送ることも楽しく電話でお喋りすることもできないタイプなので

以前は隣にいる時以外はどんな風に過ごしているかもわからなかったのだが、

いきなり旦那様の投稿やその周りの友達の投稿でどこで何をしているのか手に取るようにわかるようになってしまった。

知り合いとただ飲んでいるだけの様子なのだが、なんだかこっちもいけない物を見ているような気分になる。

 

とは言え、まだインスタグラム初心者である旦那様が変な投稿を掲げてしまわないかが心配で、

旦那様の投稿に気づくと密やかに添削してしまうのも事実である。

 

その中で見つけてしまったのだ。

投稿のコメントの中で彼は、

「良かったよかった」のことを

「良かった2」と書いていたのだ。

おわかりいただけるだろうか?

このジワッと手汗が出るような恥ずかしさを。

この書き方は、(私の世代は)中学生までに流行った書き方である。

(もしかしたら歳下の旦那様の世代なら小学生までだったかも知れない。)

三十路のおじさんが使うにはあまりにも、恥ずかしいのである。

しかも、何が凄いかと言うと、普段の私とのLINEの中ではこんな書き方は一切しないのだ。

つまり、彼は久しぶりに若者のSNS文化に触れるべく「背伸び」をしてこの表現を使ったということだ。

大きな判断ミスである。

 

もちろん、この添削結果を旦那様に伝えたり、SNS上でコメントしたりするような野暮なことはしない。

ただ、ただ、どうか常識ある旦那様の友人達がツッコミを入れてくれることを願ってやまないのである。

 

そしていま旦那様はと言うと、私より5日早くホーチミンへ戻り、旧暦上の新年の仕事初めを完了してきたようだ。

ホーチミンへ戻った翌日、仕事終わりにお腹を空かせた旦那様から連絡がくる。

空っぽの冷蔵庫に頭を悩ませていたようだ。

そりゃ2週間も留守にするのだ。食材を残して出るわけもないのだが、なんと彼は

「これ、食べても大丈夫?」と食品を見つけ確認してきたのだ。

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私は冷蔵のエリアに何か食べられる物を残した記憶がなかったので、慌てて記憶を洗い直す。

『ごめん、これ何?もう少し引きで写真撮ってくれる?』

寄り過ぎてて肝心な食品と思しき物体にピントが合っていないので依頼をすると、こうだ。

 

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私は吹き出す。

引き過ぎではなかろうか。

逆にわからなくなったし、なんだか哀愁すら醸し出してしまっている。

 

「カレーの匂いがするから多分カレー。食べても大丈夫かなぁ?」

 

絶対にカレーは冷蔵していない。

100歩譲っても冷凍庫に保管するだろう。

 

そしてこの後も押し問答を続け、出した判決は、

 

味噌

 

だった。

可哀想である。

カレー粉と同じエリアに置いていたので、お腹を空かせた旦那様には味噌がカレーに思えてしまったようだ。

 

そして土曜日の今日、休暇明けの週を乗り切った旦那様は、仕事後に部下を引き連れ新年会を行ったようだ。

自分以外は全員ベトナム人の女性社員という、彼にとってはそこそこのアウェイ戦であったようだ。

ベトナム人との飲み会はベトナム料理屋と決まっているので、ベトナム語が皆目わからない旦那様には「Google翻訳」というアプリと通訳さんだけが味方である。

そこでGoogle翻訳を通したメニュー表の画像をSNSに投稿していたのである。

その投稿は今までで一番まともで見応えもあったので、赤ペン先生としても胸を撫で下ろした。

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旦那様と面識のある方は是非フォローして彼を温かい目で応援してあげて欲しい。

 

 

 

 

テトの前のベトナム

テトという言葉を聞いたことがあるだろうか。

いわゆる旧暦の正月で、2020年のベトナムの元旦は1月25日にあたる。

学校は実質今日で終了し、明日から2週間の冬休みに入るのだ。

 

少し晴々した気分で最後の授業を終えるも、

こんな日に限って旦那様は真っ直ぐ家に帰ってくるとのことだったので、

クラスメイトからの飲みの誘いを断って夕飯を作る。

 

ご飯を食べ終えると、旦那様が低いテンションでこう言ってきた。

 

「仲間が強盗にあった」

 

セリフにすると田舎のチーマーが別の群れのボスにダチをボコられたみたいな痛々しい表現になってしまうのだが、

どうやら野球仲間が被害にあったらしい。

そう、ベトナムではテト前はかなり犯罪率が高まるのだ。

普段控えめな生活のベトナム人も一気に財布の紐が緩む。

かなりの消費行動を伴う時期なので、お金を欲しがる輩が犯行に及ぶのもこの時期だそうなのだ。

駐在員たちは会社側から注意喚起を受けるようで、私も旦那様から「この時期は気を付けろ」と何度も言われていた。

 

強盗にあった被害者は男性で、仕事帰りにgrabのバイクで走行をしている時、

進行方向から3人組の男に進路を妨害され暴行を受けたということだった。

私はてっきり「スリ」のような、気づいたらお金盗られてました!というタイプを警戒していたのだが、

こんなに大胆に行われるものもあるのだと知ると、迂闊にバイクにもまたがってられないなぁと思う。

 

最近は街の中心地のハイランクのデパートにも集団スリが出没しているようで、

日本人だとわかると笑顔で話しかけてきて

「お札見せてください」

と言って不意をついて財布ごと持っていくのだそうだ。

 

明日は1ヶ月ぶりくらいに駐妻の友人とランチの約束をしているが、友人にもLINEで注意を呼びかけた。

 

" タクシーで集合しよう。そしてもし、お金を見せてと声をかけられたらベトナム語でこう言ってみて!

『コン、コンコー、ドゥンホンアンチョエムティエン

(いいえ持ってません、むしろ私にお金をください)』"

 

 

この1ヶ月半のベトナム語の成果が世界を救う事を願っている。

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海外での恋バナ

今日も旦那様は忘年会という名の麻雀大会に出かけるということで、私もクラスメイトとご飯を食べに行くことにした。

 

韓国ではよく食べられると言う豚足のレストランへ行き、人生初の豚足を食べた。

二次会の会場にはその界隈のローカル居酒屋が選ばれ、ガレージのような店の外に競り出た低い机と椅子に座って安いビールとヤギの炭火焼きを喰らう。

今日はなんだかジビエ的な1日だなぁと思いながらも、どれも見た目や匂いに反して味は最高に美味しかった。

飲んで食って250円という値段だから、お財布にも優しい国である。

 

まともに英語を喋れるのは香港人と韓国の東大生だけだが、別にそんなことはもう関係なくなってきていた。

ボディーランゲージは世界共通語だし、なによりベトナム語という共通言語がある。

誰かが知らないベトナム語の単語があると、わかる人が教えたりして、会話は補填されていく。

 

今日はひょんなことから、みんなのトークテーマが私と旦那様の馴れ初めになった。

英語で私と旦那様の馴れ初めを話すには、ニュアンス的なものや、私個人の日本人的な冗談をどのくらい織り混ぜて伝えるべきか、というシリアスな問題があったが、

私なりに要約して話してみることにした。

 

まずこの話に欠かせないキーワードである「合コン」という概念を伝えることからスタートする。

一度試しに、パーティーみたいなものだと説明してみると、婚活パーティーと勘違いされたのでしっかりと否定した。

婚活パーティーと合コンは似て非なるものであると考えているからだ。

合コンの方が、やや巧妙な駆け引きや探り合いの要素をはらむ。

婚活パーティーとは違い、「みんな結婚したいです」という前提を一切持たない。

これが故に、彼女がいるヤツ、彼氏がいるヤツが平気で臨戦態勢を装ってくるわけで、まずそこのスクリーニングから始めなくてはならない。

まぁそんなことをここで熱弁をしても意味がないので、私は補足を詳細にしていく。

 

・全員が初対面というわけではない。

・友人同士の紹介飲み会のようなものだ。

・だが実際には、女性は友人ではなく、寄せ集められたその場限りのメンバーであることもしばしば。

・男性は数年来のマブダチを連れてくるケースが多い。

・女ってそういうものなのよ。

 

我ながらなかなか流暢に的確な実態を伝えられたのではないだろうか。

 

一番若造の22歳の韓国東大生グンス君がやたらと興味を持ってくれ、その場を回し始める。

「面白いね!あー、じゃぁ、そこで一目惚れしたってこと?!」

 

この答えもNOだとしっかりと否定する。

ただここへ来て急にボキャブラリーが乏しくなったため、説明が

・お互い、互いの顔が好みではない

というワンセンテンスにすっぽり収まってしまった。

それぞれの母語に翻訳された私のこの言葉は、その場の笑いを誘うことには成功したが、

「え、じゃぁ、なんで結婚したの?」

という空気になってしまった。

 

実を言うとここからどう展開して今に至るのか、日本語でも上手くストーリーに出来ない。

実際のところ、私はその合コンの会場内で彼と一言も喋らなかった。

会場を出て、駅まで向かう道すがらたまたま横にいたので少し話しただけなのだ。

まぁ不思議なもので、私この人とお付き合いするだろうな、と思ったのは事実である。

ただ、これは第六感的なロマンテックな話ではなく、

当時合コンに行きまくっていた私には、彼とお付き合いするまでの成約ストーリーを描ける能力が備わってしまっていたというのが正しい。

営業職をしていたこともあって、お客様を自分の思うゴールへ導くストーリーを描くのには慣れていたのだ。

(描くことに慣れただけであって、実際にその通りに行くかどうかは置いといて欲しい)

 

ただ、これを英語にするには自分の能力が大いに足らないし、

おまけにロマンテックも大いに欠ける。

だから私は盛大に盛ったのだ。

 

・だって愛は心でしょう?顔は大事じゃないわ。

・彼と話した時、とても楽しかったのよ!笑うタイミングもピッタリで!今でもそうよ!

 

その場は大いに沸いた。

司会者グンスによりその後も記者会見は続いたが、私は結婚間近のソンホに上手くマイクを引き継いで懺悔に入る。

 

神様お許し下さい。

後半はほぼ嘘です。

私の顔の下あたりにこうテロップを入れてください。

「※これはフィクションであり、実在の物とは一切関係ありません」

 

 

私は合コンの夜に駅まで彼と交わした会話を今でもハッキリと覚えている。

当時彼はネズミの夢の国の近くに住んでいるという話だったので、

私は「成人式にタダで入場できるんでしょう?いいなぁ」と答えた。

ただ後で気づくのだ。

彼は22歳まで関西にいた。

成人式に夢の国の入場資格は持っていなかったのだ。

 

あぁ、なんとつまらない会話なのだろう。

今考えても自分のつまらなさが恥ずかしい。

 

結婚した今も毎日笑わせてもらっているものの、ここまで説明し難い結婚もなかなかないのではないだろうか。

世の中には不思議なこともあるものだ、とバイクに揺られながら振り返る夜。

 

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